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投稿日:2008-12-08 Mon
4月15日提出した後期高齢者医療制度不服審査請求についての処分庁の再弁明書が届きました。私たちは、反論書案を作成し、今週末に郵送します。再反論書案についてのご意見、ご批判をお聞かせ下さい。 これまでの処分庁の弁明書・反論書、再弁明書、再反論書案を掲載します。長くなりますが、ご参照下さい。 石川県社会保障推進協議会 寺越博之
記
後期高齢者医療制度不服審査請求 広域連合長「弁明書」
平成20年7月28日付け石高審第27号で弁明を求められた事項について、下記のとおり弁明します。
1.審査請求に係る処分
被保険者 ○○○○ 様に対し、石川県後期高齢者医療広域連合長が、2008年4月1日付けで行っ た後期高齢者医療被保険者証交付処分
2.弁明の趣旨「本件審査請求を棄却する。」との裁決を求める。
3.「審査請求の理由」記載事実の認否
後期高齢者医療被保険者証交付処分については、高齢者の医療の確保に関する法律施行規則(平成19年厚生労働省令第129号0以下「規則」という。)第17粂第1項の規定により、後期高齢者医療広域連合は、被保険者に対し、被保険者証を、有効期限を定めて交付しなければならない。とされていること及び高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号、以下「法」という。)第50条により「被保険者」について定められていることから本件処分は、適正に行われたものであり審査請求の理由については、いずれも否認する。
(1)「「後期高齢者」と呼んでほしくない。高齢者の尊厳を尊重しないことは憲法13条に違反するものである。」については、制度等の名称については、法により規定されているものであり、適法である。
(2)「私はこれまで息子の健康保険に妻と一緒に加入していた。今回、息子の健康保険家族から、脱退させられて、後期高齢者医療制度に強制的に移行させられた。何故、家族一緒にいた医療保険から、強制的に脱退させられるのか。合理的な説明と合意もなしに、有無を言わさず、健康保険家族から、脱退させられることは、憲法13条(個人の尊重)に反するものである。」については、法第50条に「次の各号のいずれかに該当するものは、後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者とする。」と規定され、第1号に「後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する75歳以上の者」と定められていることから審査請求人を後期高齢者の被保険者としたものであり、本件処分は法に基づいた処分であり、適法である。
(3)「後期高齢者医療保険料は、2年間、均等割が5割軽減され、08年上半期は凍結、下半期9割軽減されると書いてある。半年後に保険料負担が発生する。健康保険家族のままであれば、保険料負担が発生しない。何故、無理矢理健康保険家族から脱退させられ、しかも新たに保険料負担が発生するのか、何人も合理的な理由もなしに不利益処分を被ることがあってはならない。」については、高齢者の医療の確保に関する法律施行令(平成19年政令第318号。以下「政令」という。)第18条第5項により「後期高齢者医療広域連合が被扶養者であった被保険者に対して課する保険料の算定に係る法第百四条第二項に規定する政令で定める基準は、次のとおりとする。」とし、第1号に「被扶養者であった被保険者(前項第一号及び第二号の規定による減額がされない被保険者に限る。)について、法第五十二条各号のいずれかに該当するに至った目の属する月以後二年を経過する月までの間に限り、当該被扶養者であった被保険者に対して賦課する被保険者均等割額を減額するものであること。」、第2号に「前号の規定に基づき減額する額は、当該後期高齢者医療広域連合の当該年度分の保険料に係る当該被保険者均等割額に十分の五を乗じて得た額であること。」とされ、石川県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療に関する条例附則第8条において平成20年度における被扶養者であった被保険者に係る保険料の賦課の特例として「平成20年度において、被扶養者であった被保険者に対して賦課する被保険者均等割額は、第15条及び第16条の規定にかかわらず、広域連合の当該年度分の保険料に係る被保険者均等割額から当該被保険者均等割額に20分の19を乗じて得た額を控除した額とする。」こととしていること、高齢者の医療の確保に関する法律第50条により「被保険者」について、同法第52条により「資格の取得の時期」について定められており、本件処分は法令等に基づいたものであり、適法である。
わたしたちの「反論書」
石川県後期高齢者医療審査会
会長 中村 明子 殿
審査請求人 ○○○○
審査請求代理人 寺越 博之
反 論 書
平成20年8月25日付で提出された弁明書にたいし、下記の通り反論する。
記
1.審査請求に係る処分
審査請求人にたいし、石川県後期高齢者医療広域連合長(以下「処分庁」という)が、2008年4月1日付で行った後期高齢者医療仮保険料決定処分、保険料年金天引き処分・保険証交付処分
2.反論の趣旨
処分庁より提出された弁明書によって、本件処分がますます憲法に違反した処分であることが明らかになった。以下にその理由を述べ、改めて「仮保険料賦課決定処分・保険料天引き処分・保険証交付処分」を取り消すとの裁決を求める。
3.反論の理由
(1)審査請求書には記載できなかったが、私は、後期高齢者医療制度への強制加入にも「異議あり」と主張するものである。現在の後期高齢者は、昭和8年以前に生まれた人である。私含めて後期高齢者は、戦前、国のために「いのちを投げ出せ」と言われた世代である。勤労動員など筆舌に尽くしがたい苦労を強いられたものである。廻りの友人・知人は生きて還らぬ人になった人も多くいる。そして戦後は、何もない中で、歯を食いしばり、家族のために、社会の発展のために頑張ってきた世代である。
本来ならば、医療は無料で、安心できる医療が提供され、生活も経済的な心配がいらないように配慮されるべきである。ところが、今度は、簡単な説明書一通で後期高齢者医療制度に強制連行させられ、75歳未満とは違った医療を受けることを余儀なくされた。これは、処分庁がどれだけ、弁明しようとも審査請求人の尊厳と人権を踏みにじるものである。憲法13条に反するものである。
(2)憲法は二度に渡る世界大戦の反省から、自由の抑圧と人権の軽視、及び欠乏(貧困)が戦争の要因ととらえ、戦後の社会のあり方として、全ての人の尊厳と権利を守ることを宣言している。憲法は主権者である国民の尊厳と権利を守るために、権力・国会等を拘束するものである。憲法は、戦前の苦い経験から、国会での多数者の決定においても奪ってはいけないものを明確にしている。すなわち、全ての人の尊厳と人権は、国会での決議であっても奪ったり、侵害することは憲法上許されないものである。
(3)処分庁は、高齢者の医療の確保に関する法律(以下「高齢者医療確保法」という)に基づいた後期高齢者医療制度への加入であるから適法な処分だと言うが、「国会で決まったら、どんなに人間の尊厳を奪い、人権を侵害しても許される」ものではない。上記の通り、人間の尊厳と自己決定権を奪うことは憲法上ゆるされない。
(4)老人福祉法では「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。」と規定している。老人福祉法から高齢者医療確保法をみると、この法律の目的規定は、異常としか言いようがない。
(5)高齢者の医療確保法では、後期高齢者医療制度の事務は団体委任事務ではなく、自治事務となっている。処分庁には後期高齢者医療制度の実施しないことも選択肢にある。従って、処分庁が「高齢者医療確保法に基づいた処分」ということを理由にして、強制加入処分の正当性を主張することには根拠がない。
(6)高齢者の医療の確保法の前期・後期の差別は憲法13条、14条に明らかに違反している。処分庁は、憲法99条で憲法擁護義務を負っている。従って、処分庁は憲法違反の本件法律に従ってはならないので、交付処分も取り消しされるべきである。
(7)年金からの天引きについては、個々人の事前了解なしに強行されており、憲法29条に定める財産権の侵害に当たる。また、問答無用に徴集するという点では、憲法13条が保障している国民の自己決定権を奪うものである。処分庁は、「法令等に基づいた処分だから適法である」と弁明している。制度の内容も知らせないで、保険料だけは、問答無用といって、年金天引きするなんていうことは許されないことは明白である。
(8)仮に年金天引きが違憲でないとしても、東京都23区がそうしたように、08年10月まで猶予が可能であった。制度の周知も徹底されない中で特別徴収を強行することは、高齢者医療確保法の立場にたってもその適用において、間違っているものである。
(9)現に、08年6日の与党の見直し施策によって、一定の条件の人は、特別徴収を自動振替に切り替えることが可能となった。見直し施策は、法改正に基づくものではない。従って、法律的には特別徴収は、広域連合に国が強く義務づけているものではない。後期高齢者医療制度は団体委任事務ではなく、自治事務であるのだから、特別徴収によらないで、自動振替、普通徴収によることは十分可能である。処分庁は、「法令等に基づいた処分だから適法である」と弁明しているが法令等にもとづいても特別徴収によらないことが可能である。従って、処分庁の弁明は、不当な処分を「適法」を理由にして正当化しようとするものである。
(10)処分庁は「08年4月15日の年金は08年2月、3月分の年金である。08年4月・5月分の後期高齢者医療保険料を4月15日の年金支給額から天引きするのは、不当である」について「法令等に基づいた処分だから適法である」と弁明している。4月15日の年金天引きは、特別徴収を実施しなければ、良かったのである。私は、4月からの保険料徴収を反対しているのではない。「2月、3月分の年金からとるな」と言っているだけである。そして、「前納は強制されるものではない。前納の強制反対」と主張しているだけである。払うときは、後払い、取る時は前納。こんな行政に都合のよい話はあまりにも国民無視で行政のご都合主義である。
広域連合長 「再弁明書」
審査庁 石川県後期高齢者医療審査会
会 長 中 村 明 子 殿
石川県後期高齢者医療広域連合連合長 山 出 保
再 弁 明 書
平成20年10月27日付け、石高審第62号により送付がありました、審査請求人○○○○様からの反論書について、次のとおり弁明いたします。
1.審査請求に係る処分
被保険者○○○○様に対し、石川県後期高齢者医療広域連合長が、2008年4月1日付けで行った後期高齢者医療保険料決定処分
2.弁明の趣旨
石川県後期高齢者医療広域連合長が、2008年4月1日付けで行った後期高齢者医療保険料決定処分については適法であり、「本件審査請求を棄却する。」との裁決を求める。
3.「審査請求の理由」記載事実の認否
記載理由の認否については、平成20年8月25日付、広総第137−1号により提出の弁明書に記載のとおりである。
4.反論の理由に対する弁明は次のとおりである。
(1)後期高齢者医療制度は高齢者の尊厳と人権を踏みにじるものについて
後期高齢者医療制度は、医療保険制度体系及び診療報酬体系に関する基本方針の中で「安定的で持続可能な医療保険制度の構築」、「給付の平等、負担の公平」、「良質で効率的な医療保険制度の構築」の考えのもとに、急速に進展する少子高齢化、低い経済成長、国民生活や意識の変化などの厳しい社会経済環境の変化にも耐えられ、高齢者に対する医療を将来にわたり安定的に確保するため創設された制度であります。また、75歳以上の高齢者は、その心身の特性や就業状態、所得の状況からみて65歳から74歳末満の前期高齢者とでは、かなり異なると考えられており、75歳以上の高齢者(65歳から74歳までの一定の障害のある方を含む)が加入し、全員が公平に保険料を負担していただくものとされたものであり、国民連帯の理念に基づき、国民保険の向上及び高齢者の福祉の増進を図り、公平に医療の給付を受け、公平に費用の負担をするものであります。
(2)これまで加入していた医療保険からの強制脱会、後期高齢者医療制度への強制加入の不当性 後期高齢者医療制度への加入については、健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)により、平成20年4月1日にこれまでの老人保健制度から移行したものであり、高齢者の医療の確保に関する法律施行規則第28条により資格の届出等について「(前文省略)届け出られるべき事項を公簿等によって確認することができるときは、当該届出を省略させることができる。」と規定され、また、健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)附則第132条において「改正前のそれぞれの法律の規定によってした処分、手続等について、改正後のそれぞれの法律の規定に相当の規定があるものは、改正後のそれぞれの法律の相当の規定によってしたものとみなす。」とされ、届け出の省略について規定されていることから違法なところは無く正当なものであります。
(3)石川県後期高齢者医療広域連合長の憲法尊重擁護義務違反について
後期高齢者医療制度の実施については、高齢者の医療の確保に関する法律第4条に「地方公共団体は、この法律の趣旨を尊重し、住民の高齢期における医療に要する費用の適正化を図るための取組及び高齢者医療制度の運営が適切かつ円滑に行われるよう所要の施策を実施しなければならない。」としているものであります。
(4)保険料の年金天引きの不当性について
保険料の特別徴収については、保険料の納付の利便性、納付の確実性、徴収に係る経費の軽減等、確実に保険料が納付されることにより財政運営の安定が図られることなどを目的としているところであり、高齢者の福祉の増進を図るものと考えます。
保険料の徴収の方法は、高齢者の医療の確保に関する法律第107条により定められ、特別徴収の対象にならない被保険者については同法施行令第23条に規定されており正当なものであります。なお、制度施行後平成20年7月25日に同法施行令の一部改正が行われ、ある一定の条件のもとで申請により口座振替による徴収が可能となったものであります。
(5)2月〜3月分の年金から4月〜5月分の保険料を年金天引きすることは不当である
平成20年度の後期高齢者医療制度の保険料仮徴収額は、平成18年中の所得を基準に1年間の保険料を算出し、その2分の1の金額を4月、6月、8月の3回で按分した金額で算出されており、保険料が確定した時点で、その総額から仮徴収額を差し引き残りの額を10月、12月、2月の3回で按分し徴収するものであります。従いまして4月に支給される年金から4月分、5月分の保険料として徴収したものではなく年間の保険料の総額をその年度内で分割して徴収するものであり、正当なものであります。
わたしたちの「再反論書」
石川県後期高齢者医療審査会
会長 中村 明子 殿 審査請求人 ○○○○○○
再 反 論 書
平成20年11月20日付け広総第198− 号で提出された再弁明書にたいし、下記の通り反論する。
記
1.審査請求に係る処分
審査請求人にたいし、石川県後期高齢者医療広域連合長(以下「処分庁」という)が、2008年4月1日付で行った後期高齢者医療仮保険料決定処分、保険料年金天引き決定処分・保険証交付処分
2.反論の趣旨
処分庁より提出された再弁明書によって、本件処分がますます憲法に違反した処分であることが明らかになった。以下にその理由を述べ、改めて「仮保険料賦課決定処分・保険料天引き決定処分・保険証交付処分」を取り消すとの裁決を求める。
3.反論の理由
(1)後期高齢者医療制度は「高齢者医療を将来にわたり安定的に確保するため創設された制度」ではない。
・後期高齢者医療制度は「高齢者に対する医療を将来にわたり安定的に確保するため創設された制度」ではなく、「医療費を減らす、そのために後期高齢者の医療をいの一番に削減するために、つくられた制度」である。だから厚労相でさえ、「早く死ねというのか」「行き先は姥捨て山かな」と当事者が感じていると述べざるを得ないのではないか。それだから処分庁にも苦情や不満の電話が殺到しているのではないか。処分庁は、何故、審査請求人をはじめ、何故当事者が怒っているのか、住民の悲鳴に耳を傾けるべきである。
・高齢者(65歳以上)の医療については、高齢者は高度で良質で適切な医療を受ける権利を有しており、国はそれを提供する義務がある。(憲法25条、13条)。そして高齢者が医療を受けることは年齢によって差別されるべきではない。従って、高齢者を前期・後期と分ける必要はなく、まして後期高齢者という人格的感情にかかわる呼称を法制化することは、憲法13条の保障する人格権を侵していることになり、また、合理的な理由もなく前期・後期と区別するのは、憲法14条の平等原則にも反しているものである。
(2)違法ではないとしても憲法に反している。
・処分庁は「当該届出を省略させることができると規定されているから、違法なところは無く正当なものであります。」と述べている。「できる」ということであれば、どんな権利侵害、不利益処分でも「実施する」ということにはならない。
・権利侵害・不利益処分となる事案には、適正手続きが必要である。きちんと当事者に説明をして当事者の弁明の機会の付与を行った上でなければ強制執行してはいけない。ところが処分庁は、後期高齢者医療制度がどのような制度であることをほとんど説明もせずに、これまで加入していた医療保険から強制脱会させ、後期高齢者医療制度に強制加入を実施したのである。そのことによって、家族がばらばらにされたものである。このように適正手続きを欠いた強制脱会、強制加入決定処分は憲法の人権保障条文に反する処分である。
(3)石川県後期高齢者医療広域連合長には憲法擁護義務がある。
憲法は立憲主義の立場に立って、国や自治体の活動を規制し、制限するものである。そのために憲法99条で「憲法を尊重し擁護する義務」を公務員等に負わせている。国民は、政府や地方自治体が憲法に基づいた政治を行っているかどうかのかを監視し、政府や自治体に憲法を守らせる責任がある。
審査請求人は、「処分庁は、憲法を守る義務がある。高齢者の尊厳を踏みにじり、人権を侵害する後期高齢者医療制度の実施に当たっては、人権侵害がないような仕組みを設けて実施すべき」であると主張しているものである。処分庁は、審査請求人の反論に何ら弁明していない。処分庁は、憲法擁護義務の立場から、自らが行った諸処分が憲法に照らしてどうなのか自己検討すべきである。そして、適切を欠いていることが明白であれば、諸処分を取り消しすべきなのである。
(4)保険料の年金天引きは、高齢者の自己決定権・財産権をうばうものである。
・処分庁は「保険料の特別徴収は・・・・・、高齢者の福祉の増進を図るものと考えます。」と述べている。保険料の年金天引きは「高齢者の福祉の増進を図る」ものではなく、高齢者の自己決定権を踏みにじり、高齢者の暮らしを破壊するものである。だから政府でさえ、年金天引きについては問題があるとして、今年7月25日に年金天引きについて一部手直しを実施し、さらに来年4月から「基本特別徴収を改める。選択制に移行させる」としているのである。
・後期高齢者医療制度保険料をどのようにして納めるか、それは被保険者が自己決定すべき事項である。これまでは、例えば、国保料を家族の誰がどのようにして(どの財布から)払うかは、家族の相談で決め、実施することができた。東京に住んでいる息子が払うことも十分可能だった。家族で相談したことに基づいて納付されていた。ところが今年から、それぞれの年金から天引きされることとなった。家族で相談してきたこと、家族の約束がみんな反故にされたのである。徴収事務の効率化という処分庁の目的から、市民の家族関係の悪化が強制されたものであり、それはどのような理由であれ、許されるものではない。
特別徴収は、行政と住民の信頼関係を同じく壊してしまう。地方自治にとって、もっと大切ななのは、行政と住民との信頼関係と協働である。これまで国保料を滞納せざるを得ない人が、処分庁と分納誓約を交わし、分納(例えば、月5,000円づつ納める)を実施しているケースは相当存在している。しかし、特別徴収は、分納誓約を反故にして、強制執行するものである。これは行政と住民との信頼関係を一瞬のうちに壊すものである。その信頼関係の喪失は重大である。
(5)保険料の年金天引きは、社会保険控除する権利をうばうもの
処分庁は再弁明において、「保険料の徴収の方法は、高齢者の医療の確保に関する法律第107条により定められ、特別徴収の対象にならない被保険者については同法施行令第23条に規定されており正当なものであります。」と述べている。これは審査請求人の反論についての「弁明」と言えるものではない。処分庁に言われなくても処分庁が高齢者の医療の確保に関する法律に基づいて特別徴収決定処分を実施していることは自明である。
処分庁は、「特別徴収による増税という不利益の強制は許されない」という審査請求人の訴えに真摯に答えるべきである。「行政の徴集事務の効率化のために、市民の税負担を増やすことが許されるのか」この問いに処分庁は答えないのでなく、答えることができないのである。どのような理由をつけても税の負担増となる不利益処分を合理化することができない。
(6)税の負担増などの不利益処分の実施には適正手続きが欠かせない。
特別徴収によって、社会保険控除ができなくなるなどの不利益処分を実施する場合には、幾つかの諸手続きを踏まえて実施しなければならない。当事者の弁明の機会の付与、代替措置の有無の検討などをえて上で、住民の意見を聞いた上で、実施すべきである。
しかし、処分庁の特別徴収の決定は、何ら当事者に説明も意見も聞かないで、問答無用として実施されたものである。審査請求人なと「年金天引きは困る」という声が多くあるのにその願いを無視して強行されたものである。
このように処分庁の特別徴収決定処分は、適正手続きを欠いた処分であり、違法を免れない。取消しすべきである。
(7)4月に支給される年金から4月分、5月分の保険料として徴収したものである。
・処分庁は、「4月に支給される年金から4月分、5月分の保険料として徴収したものではない」と述べているが、「年間の保険料の総額をその年度内で分割」するものであっても実質的には、4月15日支給の年金から天引きされた仮保険料は、4月分、5月分の仮保険料として徴収したものである。それは事実上の前納の強制であり、許されない。
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