投稿日:2008-08-05 Tue
審査請求の口頭意見陳述中間報告石川県では、後期高齢者医療制度に対する審査請求についての口頭意見陳述が実施されています。
4パートで、50人の審査請求人・代理人が口頭意見陳述をしています。
口頭意見陳述には、午前は、審査会会長 中村明子弁護士の参加、午後は審査会副会長 高橋涼子金大教授の参加を求め、実現しています。
審査請求人・代理人が一同に集まって、順番に、前列に出て一人一人発言しています。一人が終わるとみんなで拍手をして発言をねぎらい、激励をしています。
審査請求人・当事者は、戦前、国の命令で、国のためにいのちを投げ出せと言われたこと、勤労学生の生活、学徒動員の時の話等々を語られました。その話を聴いて、現在の後期高齢者は、350万人の戦死から免れ、戦前・戦後必死で生き抜いてきた世代であること、現在の後期高齢者のご奮闘があればこそ、今日の日本があり、私たち現役世代の生活があるということを実感しました。
代理人の口頭意見陳述を紹介します。明日は、現役の医師であり、元全日本民医連会長の莇昭三さんの意見陳述を紹介します。
口頭意見陳述「代理人の立場から」
(1)後期高齢者医療制度への強制連行は、高齢者の尊厳と自己決定権を奪うもの
「高齢者のための国連原則(1991年国連総会で採択)」では、高齢者は「社会の一員として、自己に直接影響を及ぼすような政策の決定に積極的に参加し、若年世代と自己の経験と知識を分かち合うべきである。」と述べています。後期高齢者医療制度は国会の審議の場においても、広域連合で連合計画、条例の決定過程においても、当事者から意見を聴いて、法・条例に反映するというプロセスは取られていません。後期高齢者医療制度への移行するか否かの選択の自由はありません。当事者への十分な説明と多様な選択肢を示して、当事者が自己決定する自由を保障していません。
その結果、夫婦あるいは家族仲良く一緒に、加入していた医療保険から、強制的に脱退させられ、夫婦別々の保険、家族別々の医療保険ということも強制されました。
「長寿」と名前を変えても、政府や広域連合に高齢者を社会の発展に貢献されてきた人として尊敬する敬老の精神がありません。高齢者の参加、自己決定、高齢者の尊厳を保障する姿勢がないのです。
現在の後期高齢者は昭和8年以前に生まれました。戦前は侵略戦争に赤紙ひとつで駆り出され、戦後は、何もない中から、家族を守り、社会の発展のために、頑張って来ました。
今度は、簡単な説明書一枚で後期高齢者医療制度に強制連行させられました。これは、広域連合長がどれだけ、弁明しようとも高齢者の尊厳と人権を踏みにじるものです。高齢者は「年齢、性別、人種、民族的背景、障害等に関わらず公平に扱われ、自己の経済的貢献に関わらず尊重されるべき」(国連原則)です。高齢者の自己決定権を奪う後期高齢者医療制度にへの強制加入処分は取り消しされるべきです。
(2)後期高齢者医療制度は医療費を削減するために創設された制度である。
高齢者の医療確保法は老人保健法の「健康の保持」を削除し、替わりに「医療費の適正化(抑制)」を目的化しました。それを具体化するために2025年までに医療費を8兆円削減し、その60%以上を後期高齢者の医療を削減することで賄う計画をたてています。
今後、後期高齢者医療給付内容はどんどん悪くなります。それは介護保険で実証すみです。2005年の介護保険改訂で、保険料を引きあげながら、介護保険給付の縮小、施設の居住費・食費の介護保険外化等を実施しました。在宅では介護軽度者は、ヘルパーの生活支援サービスや福祉器具の貸し出しなどが大幅に削減されました。そして2012年までには介護療養病床が全廃されることになっています。
高齢者の15%〜20%が制度を利用をする介護保険でさえ、すでに述べた通りです。後期高齢者医療制度は介護保険以上の重大な事態になるのは火を見るよりも明らかです。
財政を理由にして、いの一番に後期高齢者の医療を削減することは、年齢でもっていのちと権利を差別するものであり、許されることではありません。
後期高齢者医療制度は、年齢でもって75歳以上と未満とを差別をして、75歳以上には差別医療と粗悪医療を強制するものです。高齢者のいのちと健康を守らない制度です。従ってこの制度への強制加入処分は取消されなければなりません。
(3)後期高齢者医療保険料の均等割は人頭税であり、憲法25条に反します!
後期高齢者医療保険料は所得割+均等割で決まります。法定減額があるものの基本免除はありません。法定減額は世帯の所得でもって、適用することになっているので、無年金・低年金でも全ての人が減免を受けることができません。金沢市在住の76歳の女性は月8500円の年金で、介護保険料が4700、医療保険料が月3700円合計8400円かかります。年金が全く残らなくなったのです。
国保の均等割という保険料の算定方式は、人権が保障されなかった戦前の国保(当時は任意保険)の算定方式を、戦後新国民健康保険に改訂する時に、無批判的に導入したものです。本来、実施後、段階をふまえて撤廃されなければならなかった計算式です。それはおぎゃと生まれた赤ちゃんも国保料を納めるということがあってはならないからです。国保の均等割は18世紀のイギリスで廃止された人頭税と同じ物です。21世紀の現在、人頭税である均等割を後期高齢者に賦課することは、時代錯誤も甚だしいものです。後期高齢者医療保険料の均等割は廃止すべきです。
廃止までの間は、後期高齢者医療保険料の均等割を住民税の均等割の内容に改善することが必要です。住民税にも均等割があります。住民税の場合、障害者、寡婦は非課税とされ、生活保護扶助費をもとに算定した所得以下の人は均等割が賦課されません。(地方税法295条)すなわち憲法25条に基づいて、人間に値する生活以下の収入の人には免除されているのです。後期高齢者医療保険料は、無年金、低年金など生活保護扶助費をもとに算定した所得以下の人にも保険料がかかるのです。
生活保護基準以下の収入の人には、均等割がかけるべきではありません。当面、後期高齢者医療保険の均等割は、地方税法295条と同様にすべきです。
(4)75歳健康保険家族の保険料徴収には道理がない。
厚労省は、これまで健康保険の被扶養者だった人の保険料について以下の通り説明しています。「健康保険の被扶養者だった人は、これまでは保険料をご負担いただいておりませんでしたが、長寿医療制度では、新たに保険料を負担していただくことになります。」「これまであなたと同じ所得で国民健康保険に入っていた方は、その方の保険料をご負担いただいていました。新しい制度では、お一人おひとりの所得に応じて、公平にご負担いただくことになります」。
これでは、健康保険家族であった後期高齢者がなぜ、健康保険家族の資格を奪われ、その上に保険料負担を強制されるのかの説明にはなっていません。健康保険家族だった人からの保険料徴収は健康保険のルールを大きく後退させるものです。
「あなたと同じ所得で国民健康保険に入っていた方は、その方の保険料をご負担いただいていました。」との理屈で保険料負担が強制されるならば、75歳未満の健康保険家族、厚生年金第3号被保険者にその理屈が拡大適用されてくることは火を見るよりも明らかです。
(5)保険料の年金天引きは、高齢医者の自己決定権を奪うもの。
厚労省は保険料の年金天引きの理由を「当事者の利便」のためと言っています。保険料の年金天引きは介護保険から実施し、その時もその理屈を述べていました。利便性というのなら「自動引き落とし制度」を利用すれば良いのです。自動引き落としにすれば、家族で相談して、誰の口座から引き落とすかの選択することも可能です。利便は強制されるものではありません。保険料は誰がどのように納めるか、どのようにやりくりして納めるのか、国民は自由に自己決定するべきものです。 年金天引きは、そのささやかな自由を奪い、ただでさえ少ない年金がさらに少なくなることによって、人間らしい暮らしが維持できなくするものです。だから、当事者が怒っているのです。
「どうせ、納めなければならない保険料を天引きしてどこが悪い」と与党の議員は言っています。しかし、年金は、偶数月に前2か月分を支払う「後払い」で支給されます。ところが医療保険料の天引きは、当該月と翌月分の2か月分を徴収する「先取り」方式です。そのため、常に保険料は一ヶ月分の「取り過ぎ」状態となり、途中で高齢者が死亡したり、他県へ転出すると「還付」することになります。還付にはいちいち請求手続きが必要で請求しなければ返って来ないのです。
また保険料は、法定減免の他に、災害等々の理由による申請減免を受けることが可能です。年金天引きは、個々の特別事情などお構いなしに先取りして天引きするのです。年金天引きは、申請減免の権利を事実上奪うものです。
新たに、年金天引きは、確定申告で、税の社会保険控除に反映できない問題も明らかになりました。
扶養家族の医療保険料の控除を世帯主が申告できなくなったのです。
このように、保険料の年金天引きによって、数々の不利益、家族の関係にひびがはいるなどが起きています。制度変更によって、このような不利益が強制されることはあってはなりません。年金天引きは即刻中止すべきです。
△ PAGE UP



